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ーー you side ーー
朝起きたら、隣に人がいた。
ひとつ檻の中に、私以外の人が。
「…ここは？」
目をこすりながらそう言う彼に目が離せなくなる。
…生きてる、普通の、人だ
「…って、誰か、おる」
『こん、にちは、』
数年間まともに人と話してなかったからか、掠れた声しか出ない。
でも、話さなきゃ、
「こんにちは？ここどこ？なんか頭痛いんやけど…」
『私も、よくわかってない、でも、危ないところ、で、』
「危ないん？」
『う、ん』
「もうちょっとこっち来れへん？鎖繋がれとって」
『…がんばり、ます』
｢どっか、痛むん？｣
『だいじょう、ぶ』
重くて簡単には動かない体を引き摺って彼の元へいく。
彼は＿＿まだ、間に合う。まだ、助けられる
「それで＿＿」
『時間がないから、話、聞いてほしい。＿＿多分この後、何処かに連れて行かれる。その時に、変な飲み物飲まされると、思うの。＿＿絶対に、飲まないで』
「…分かった。ちなみに、飲んだらどうなるん？」
『洗脳される。体が動かなくなる。＿＿殺したくない人を、殺さなきゃいけなくなる
体弱かったりすると、入ってる薬に耐えられなくて死んじゃう人もいる。貴方は軍人さんだから、死なないとは思う、けど…』
「こわ…おん、分かった、ありがとな」
彼は軍服を着ている。
というか、さっきまでは視界が朦朧としていて気付かなかったけれど。
＿＿この服は
『我々国？』
「そうやで」
『…私も、我々国の出身で』
「…あー……拉致られてた、か」
『…うん。＿＿＿＿軍人さん、か、、』
「どしたん？」
『…いや…私が置いてきちゃった大事な人が、軍人さん、なりたがってたから』
「なるほど。……じゃあ、俺知っとる人かもな。」
『…そうだったら、いいなぁ』
幸せに暮らしてくれてれば。
しっま。しっま。しっま。
大丈夫、覚えてる。
でも、それしか、覚えてない。
本当の名前を、忘れてしまった。
確か……4文字…？
彼との記憶が消えてしまう。私の自我が、薄れていく。
＿＿忘れたく、ないよ
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作者名：えむいー | 作成日時：2024年2月16日 11時
