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Aはずっと花を見続けて、目を合わせずに口を開く。
『ねえシッマ。』
kn「なんや？」
『私はずっとあそこに閉じ込められてたから、あの時から何も変わってないの。少しは成長したけど、中身はシッマの記憶の中にいる私なんだよ。』
kn「…うん」
『でもシッマは、私のいない間にすごく大きく、なったよね。もちろん体だけじゃなくて』
kn「…」
『性格も昔はもっとツンツンしてたし、最初は別人かと思っちゃった。
色んな人から慕われて、本当にすごい。もう手の届かないような存在みたい。』
kn「……でも俺をそう変えたのはお前やで？」
『そう…だと、嬉しいなあ。
でもね、やっぱりシッマなんだ。今のシッマも昔のシッマも、私の知ってるシッマで＿＿。』
そこまで言ってAは口を噤む。そしてポツリと呟くように言う。
『シッマを裏切ったのに、こんなこと＿＿』
kn「裏切ってなんかないやろ」
彼女の言葉を遮ってそう言う。
彼女は、お母さんとお父さんを助けるつもりだったとこの前言っていて。
それは正しいことだ。一人でも生きていける俺と、助けなければ殺されてしまう両親。
そんなの天秤にかけることでもないだろう。
kn「お前は正しいことをしたんや。だから裏切ったとか言うのは禁止な」
そう言うとAはびっくりしたような顔をして口を開く。
『…うん、もう、言わない』
そう言いながらも、隣に座っているAの手が少し震えていることに気付く。
そんなAの手に自分の手を重ねる
『！』
kn「そんなこと言っとるん、Aらしくないからな。お前は笑とった方がええ」
そう言うと、少し笑ってAはありがとう、と溢す。
『…そのミサンガ、まだつけてくれてたんだ』
kn「え？ああ、まあな」
『…そっか……じゃあ、この会えなかった期間、シッマの中に私は残ってた？』
kn「…忘れたことなんて一日もなかったで」
俺がそう言うと、Aは少し顔を赤らめて、あ、あのね！という。
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作者名：えむいー | 作成日時：2024年2月16日 11時
