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チーノくんがローブの中に手を入れ、頭上に何かを投げる。瞬間、空気の抜ける様な可愛らしい破裂音と、紙吹雪が舞う。薄く色鮮やかな紙切れが空中を漂う後ろで、深い紫の双眸と視線が合う。すぐに逸らされたそれは、深海を思わせる冷たい印象を纏っていた。黙りを決め込むショッピくんの肩に、チーノくんが腕を回す。対照的なにやつきを顔面に貼り付けたまま、彼は楽しげに声を張り上げた。
「と、いうわけでぇ……賭けは俺の勝ちやなショッピ！1週間分の雑用押し付けられるってどんな気持ちぃ？なぁなぁ！」
「チッ……ここぞとばかりに調子付きやがって……」
『……賭け？』
ぽかんと首を傾げると、チーノくんが得意げに人差し指を立てて流れるように説明し始めた。曰く、昼休みが終わった直後、2人はひっそりと私が入団するかどうかで賭けを始めていたらしい。入団する方に賭けたのがチーノくん、ショッピくんはその逆。負けた方は、勝った方の師団の仕事を1週間肩代わりする決まりだったそうだ。
「そんな不機嫌そうな顔せんでやぁ、俺に負けたからってさ！ベトの悪魔の名折れやで、堂々とせぇよ！」
ケタケタと笑いながらショッピくんの頬を突き回すチーノくんを鬱陶しげに払い退けて、ショッピくんは鞄に手をかける。
「うっさ……もうええやろ、今日はこいつに師団室見せたし。俺はもう帰る」
「はぁ〜？か、勝手なやつ……ええけど。負けたの悔しいねぇショッピくん！」
ひとしきり笑って満足行ったのか、腹を抱えて丸めていた背をぴんと伸ばし、チーノくんは私に向き直る。いつの間にか縮まっていた2人の距離を目にして、呆気に取られていた私も、思わず背を伸ばした。
「と、言うわけで……これからよろしく、Aさん！」
差し出された手を取ると、ぶんぶんと繋がれた手を上下に振られる。勢いの良さに目を回しつつ、私は小さく頷いた。
『よ、よろしく……』
少し背の高いチーノくんの後ろで、ショッピくんが床を見つめているのが見えた。殆ど隠れたその表情には影が差しているように見えるのは、賭けに負けたせいだったのだろうか。
続く (更新停止中)
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いらお(プロフ) - お皿さん» ありがとうございます、はてなマークに笑っちゃいました（笑）応援とても嬉しいです、頑張ります！ (2023年3月2日 7時) (
レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - りうっこさん» 返信遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、ストライク取れて光栄です！ゆっくりにはなるかと思いますが、更新した際にはぜひチェックしてやってください…！ (2023年3月2日 7時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
お皿(プロフ) - 陰から応援してる者です...もう、本当に大好きです...ありがとうございます（泣）（？）これからも陰ながら応援させていただきます。頑張ってください!! (2023年3月1日 22時) (レス) @page27 id: 5bd738696b (このIDを非表示/違反報告)
りうっこ - ぶっ刺さりました。ドストライクです… 割と久しぶりの感覚かもです！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるので、頑張ってください！！ (2023年2月3日 9時) (レス) @page26 id: 182708b139 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - 明日花さん» コメントありがとうございます、すごい嬉しいです！拙い作品ではありますが、明日花さんの性癖に刺さったのでしたら光栄に思います。ゆったり更新してまいりますので、気が向いた時にでもまた本作品を読んでいただければ幸いです！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いらお | 作成日時：2022年12月28日 16時
