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"⋯⋯Aちゃん、甘くて美味しいなぁ"
口元についた血を舌で拭い、笑いかけてくる男の子。昔近くの家に住んでいて、よく遊んでいた友達の1人だった。意地悪で、でも優しいところもあって。そんなただの幼馴染だった彼が、一瞬にして私にとって恐怖の対象に様変わりしてしまったのだ。あの日、私は初めて自分が、喰われる側にある悪魔なのだと知った。
『ショッピ、くん⋯⋯』
記憶の中の彼の名前を呟く。その瞬間、幼い男の子の面影と、目の前の男子生徒の姿がぴったりと重なって見えた。
「覚えてたんすね、《Aちゃん》」
ショッピくんの声は、浮かれるように弾んでいた。逆光で影が差しているせいか、彼の目がより不気味に見えた。仕舞い込まれていた昔の恐怖がじわじわと身体の奥から這い出て、全身に広がっていくような感覚に襲われる。鳥肌が立ち、何とも言えない肌寒さで顔の血の気が失せていくのが分かる。
腕を掴んでいた手が離され、硬直した私の頬にそっと伸びる。びくりと震える私に、彼はくつくつと喉を鳴らした。
「なぁ、探してたんやで、ずっと」
『探し、てた⋯⋯？』
そう。肯定の返事は、幼子に囁きかけるように柔らかく、低く、空気に溶けていく。彼と最後に会ってから、一体どれほどの月日が経っただろう。その間、私という存在が彼の関心の範囲内に居続けたというのなら、それは酷く恐ろしいことだ。だって、その理由はきっと。
つ、と、尖った爪の先が頬を撫でる。あとほんの少し力を入れられてしまえば、簡単にそれは薄い皮膚を突き破ってくるだろう。恐怖がピークに達し、奥歯がガチガチと鳴りかけたその時、瞼の裏に大きな背中が映し出された。それは、尊大で脅威的で、今まで見た誰よりも悪魔らしく、私に勇気を与えてくれた人の背中だった。
(そうだ、恐れてばかりでは、いけない)
変わらなくてはならないと決めたのだ。大事な人の為に、自分の為に。恐怖は悪魔にとって、最も屈辱的感情。これを受け入れているようでは、いつまで経っても進めない。
歯を食いしばり、目の前の相手を思い切り睨みつける。私の目つきが変わったことに気がついたせいなのか、肌の上で好きに動いていた指先がぴたりと止まった。
『た、たべ、食べるつもりなの』
「⋯⋯は？」
上擦った声に短く冷たい疑問形で返され、萎縮しそうになる。機嫌良さげに上げられていた口角が下がり、数分前までのような無表情がその顔の上に戻っていた。
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いらお(プロフ) - お皿さん» ありがとうございます、はてなマークに笑っちゃいました（笑）応援とても嬉しいです、頑張ります！ (2023年3月2日 7時) (
レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - りうっこさん» 返信遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、ストライク取れて光栄です！ゆっくりにはなるかと思いますが、更新した際にはぜひチェックしてやってください…！ (2023年3月2日 7時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
お皿(プロフ) - 陰から応援してる者です...もう、本当に大好きです...ありがとうございます（泣）（？）これからも陰ながら応援させていただきます。頑張ってください!! (2023年3月1日 22時) (レス) @page27 id: 5bd738696b (このIDを非表示/違反報告)
りうっこ - ぶっ刺さりました。ドストライクです… 割と久しぶりの感覚かもです！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるので、頑張ってください！！ (2023年2月3日 9時) (レス) @page26 id: 182708b139 (このIDを非表示/違反報告)
いらお(プロフ) - 明日花さん» コメントありがとうございます、すごい嬉しいです！拙い作品ではありますが、明日花さんの性癖に刺さったのでしたら光栄に思います。ゆったり更新してまいりますので、気が向いた時にでもまた本作品を読んでいただければ幸いです！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 6c40816166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いらお | 作成日時：2022年12月28日 16時
