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その後も何度も男はやってきたし、前とは違う奴らを連れて行った
何度も何度も連れて行かれて、やがて帰ってこなくなった奴らはお気に入りとされて飼われ始めたのか、それとも死んだのか
前世の記憶とかはちゃんとあったのに精神年齢は体に比例しているみてぇで
頭は分かってるのに心が中々それを理解していない、ってな事が本当にガキの頃は多かった
戻りたいなんて一瞬でも思うことすらできない過去だけど、当時の俺の馬鹿さ加減にはムカつきすぎるから一発ぶん殴りてぇ
優しそうに見えたあの男は主人とはまた違った腐りきった趣味趣向をしてる、って思ったあの時だけは感情とそれを理解している頭が一致してたな
俺は選ばれることは無かった
連れてかれた奴らは俺よりも年上で、今の俺と同じくらいだったんだと思う
だからまぁ”まだ”その対象じゃ無かったってことだろう
主人が死んでいなかったら今でもあの地下牢で、近いうちに連れて行かれてたかも知れない
だからきっと今ここにいるのは不幸中の幸い…なんだろうか
いや、そもそも俺は何にビビってんだ?
トラウマであった変わり果てたアイツらを思い出して、のように感じてたけど
そうだ、この医者の雰囲気はあの男に似てるんだ
初めは優しそうに見えたあの笑顔と声色が、次に来たときには一つも様子が変わっていなかったのにその存在全てが悪魔のようにしか見えなかった
あの男と似てる
「っ」
嫌な予感がする
そっか、エニスだけに当てはまることじゃねぇんだよな…、そういう事をされるのって
恐怖の原因はこれだったのかもしれない
安堵と怯えを交互に繰り返している間に一通りの検査が終わったみたいで、既に医者の手は俺から離れて、カルテにペンで何かを書き込んでいた
それも案外すぐに終わって、ペンを置いたかと思えば、耳につけていた小さめの黒い物体に触れた
なんだろう、インカムか何かか?
外側からパッと見ただけでもあんなにデカかった屋敷だから、連絡をすぐに取れるように……って事か
「そうそう。で、次お風呂に入れるからオスマンには着替え持ってきて欲しいんよ。なるべくゆったりした感じの長袖長ズボンね」
お風呂……か
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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta
作成日時:2024年3月20日 2時